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思い浮かんだ 勢いで書いた 軍パロ
翼に ドリーム? って突っ込まれたんで、どうしよっかなって思って。

続きにはっつけておきます。(名前変換 なしで デフォルト【玲】のまんまです)

軍服のストイックさはたまんないですよね。







 石畳の路地裏を息を潜めながら、駆ける。じりじりと追い詰められているのは錯覚ではないだろう。辺りには軍人がひしめいて、蟻一匹すら逃がさない様子である。物陰に隠れて、弾んだ息を整えながら、様子を伺う。人の気配がないかを確認した後に、物陰から物陰へ。冷たい雪がちらついて、吐く息が白く浮かび上がる。降り積もった雪が足跡を残してしまう、どうやら天候ですら私の敵の模様。吹き付ける風が容赦なく体温を奪っていく。軍に掴まってジ・エンドか。それとも、凍死するのが速いのかどちらだろうか。そんなの、どちらも御免こうむりたいので、足音を忍ばせて歩みを進める。包囲網は確実に狭まっている気がする。どこかの空き家でしばらく身を潜めるかとも、思うがそんな悠長な事をしていればアイツに見つかってしまう。青城地区を管理する及川中佐。つい、先日まで、玲の恋人だったハズの男に。

 上の方はきな臭いと噂されていたが、まさか張本人だったなんて。おいらぶったまげだよ、と冗談を言える状況でもなく。逃げた。そもそも、私が軍人ですらない。しがない医療研究者である。まぁ、軍の研究員だったのは確かであるが、いまどき大学の研究所なんかよりも、軍の方が設備がいいしという事で就職したのがそもそもの間違いか。人を助ける研究が、知らず知らずの内に人殺しに加担していただなんて許せるはずもない。 怒りに任せて、研究成果を燃やして破棄してりまえば、残りは私のこの脳味噌に内容が入っているぐらい。
 私に近づいたのは、それが目的だったのだろうか。とぐるぐるぐ思考がめぐる。軍人としての及川徹ではなく、人としての及川徹に惹かれた筈なのに。目に焼き付くのは事実を知って茫然とする私に、陶器で作れらた人形の用に無表情で、無機質な視線で捕えろと命令した男の姿だ。今まで、二人の間で培われてきたすべてが虚構の上に成り立っていたのかと思うと、悲しみよりも怒りが湧いてくる。あぁ、そういえば死んだ友人が言っていたっけ、私に男を見る目はないって。あーもーそうだよ、マイフレンド。ほんっっと、見る目ないわ。あの顔に騙された。いやだって、騙されるでしょう。

 探せ!という、怒号があちらこちらで聞こえる。ご苦労なこった、逃げた研究者一人捕まえるのに何人体制なのだろうか。もうちょっと、手加減してよね。こちとら、体を動かす事には慣れていないんだからさ。からからと乾く喉が痛いほどである。寒さで鼻水が出そうで仕方がない。犬が放たれたのか、遠くで吠える声が聞こえる、足跡は何とかけせても匂いまでは消せない。やばいな、と焦りながら目的のポイントまでの道を反芻する。確率は五分五分だろうか、数パーセントの可能性を信じて研究する普段から考えれば、ものすごくポシティブな確立な癖して、命がかかったこの状況では楽観視できる割合じゃない。軍人の声が近づいてくる気配がして、あ、人影を確認した瞬間には足に熱を感じて体は石畳に崩れ落ちた。
 声にならない悲鳴が上がる、くぐもった声を熱を帯びた痛み。足を狙ってきたのは、まだ命を取る気がないのか。それとも、ただの失敗か。走ってくる軍人らから、少しでも逃げようと残された三肢で体を動かそうとするけれども、芋虫のように体を擦しかできないのに、逃げれるはずもなく。あっけなく、掴まった。
 地面にうつ伏せにされて、後ろ手に錠ががかかる。泥まみれの雪が口に入って、思わず吐き出す。圧し掛かられた体は痛みと共に上手く呼吸ができない。

「ハァイ、玲ちゃん。鬼ごっこは終わりだよ」
 
 白地にミントグリーンの配色の見慣れた軍服に身を包んだ及川徹が、場にそぐわない軽さで言う。けれども、目深にかぶった軍帽から除く目からは冷ややかさが滲み、他者と圧倒する雰囲気を従える。

「あーあーもう、ホントは手荒な真似はしたくなかったんだけど。玲ちゃんたら、逃げるんだもん」

 ダメでしょ。と、まるで犬でも躾けるかのように言う。どくどくと、足から流れ出る血と、頭に上る血液であれほど寒さを感じていたのに、今では熱い位だ。残った力で、逃げ出そうともがくけれども、上から圧し掛かられていては十分に力を出せる筈もなく。そもそも女の力で逃げ出せるわけもない。

「ーーーーーッ、及川ぁぁ」
「あれぇ、もう徹って呼んでくれないのかなぁ?あんなにも、俺たち愛を交わし合ったのに?」

 口元に笑みを浮かべているけれど、地面に這いつくばる私を見やる視線は恐ろしいほど感情が宿っていない。知らない、知らない。こんな男知らない。馬鹿で、甘ったれで、女癖が悪くて、でも優しい徹しか私は知らない。これは、だれ。目の前にいる、この恐ろしいほどの威圧感を放つ男は誰。
 コツリと、軍靴の音が目の前で響く。ふふと、口元だけに笑みを浮かべた、及川が私の髪を引き掴み、強制的に顔を上げさせられる。くぐもった悲鳴に一切頓着されることもなく、端正な顔立ちの男の顔が目の前に映る。

「俺から、逃げられるなんて思ってないよね、玲」

 ぞくりと、悪寒が走る。本能的な恐怖からか、体の震えが止まらない。私の反応に満足したのか、引き掴んだ髪を離して及川が背を向ける。軍靴の足音と、連れて行けという冷酷な命令が路地に響いた。

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最近は熱しやすく冷めやすい。おかげで、取り扱いジャンルがぽこぽこと増える始末。薔薇も百合も結構いける雑食。
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